一緒に話がしたい
拝啓、あなた様
突然の電話にびっくりしました。
かけてきてくれた相手は、出版社の方です。
まさか電話がかかってくるとは思っていませんでした。
先日、ある本を読んだのですが、その本の中にハガキが挟まれていました。
出版社宛に出す、アンケート形式の読者カードです。
どこでこの本を知ったか、どこでこの本を買ったか、
というようなアンケートと、感想を書く欄があります。
わたしは、その本を読んで、少しわからない点があったので、感想欄にその事を書きました。
こちらの氏名、住所、電話番号も書く欄もあったので記入しました。
ですから、電話がかかってきても不思議ではないのですが。
こういうものって、返事はもらえないものだと思っていました。
感想のひとつとして扱われるのだろうな、ぐらいに考えていたのです。
ですから、電話がかかってきたことに驚きました。
そしてまた。
この担当の方が、すごく感じの良い話し方をされるので、感激しました。
接客業の方の丁寧で上手な敬語で話す、おもてなし上手な話し方とは別物です。
こちらが気持ちよく話ができるように。
あるいは、こちらの言葉を引き出してくれるように。
やわらかい口調でお話しくださるのです。
言葉の扱いがうまいのは、さすが出版社の方だわと、尊敬の念が深まりました。
わたしが、わからないと思った点。
たぶん、作者は読者の想像に任せる、ということだろうというのはわかったのです。
でも、わたしには、その想像がうまくできなくて。
どう想像したらいいのだろう?というモヤモヤが残ったのです。
出版社の方がおっしゃいます。
明確な答えはないので、それを説明することはできない。
だけど、いろいろな想像ができるので、答えはたくさんある、と。
その上で、わたしに言葉をかけてくださるのです。
この物語について、ああだよね、こうだよね、そういう話を一緒にしたいと。
その方の想像もお話しいただきました。
ああ、なるほど。
モヤモヤが、くっきりはっきり見えたわけではないけれど。
ぼんやりとした空気がいいものだ、そう思えてきました。
それが答えなのだと感じて、すっきりできました。
一緒にお話しできて、うれしかったです。
ありがとうございました。
かしこ
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- by 季ララ
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